ストレージパリティとは?(令和5年度環境省補助金情報)
皆さま、こんにちは!
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ストレージパリティという言葉を耳にしたことはございますか?
「令和4年度ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業」の
補助金でストレージパリティという言葉が広まったのではないでしょうか。
今回はストレージパリティの意義や、これまでの日本の蓄電池の戦略、ストレージパリティを達成するにはどうすればよいかについて解説いたします。

目 次
ストレージパリティとは
太陽光発電システムでは価格低減が進み、太陽光による発電コストが、既存系統から調達する電気料金と同等以下になるようになってきました。
この状況のことをグリッドパリティと呼びます。
同様に、蓄電池でも
「蓄電池を導入しないよりも、蓄電池を導入したほうが経済的メリットがある状態」である
ストレージパリティの達成が求められています。
ストレージパリティとは、
太陽光発電のみを導入した時の
太陽光発電+電気代
の価格よりも、
太陽光発電と蓄電池をセットで導入した時の
太陽光発電+蓄電池+電気代
の価格の方が安くなることを指します。
経産省はストレージパリティの達成に向けた補助金事業を行っていますが、ストレージパリティ達成のために政府は以前から様々な取り組みを行ってきました。
これまでの蓄電池関連施策
蓄電池戦略【2012年~】
蓄電池戦略は2012年、経済産業省の蓄電池戦略プロジェクトチームによって策定されました。
本戦略では、蓄電池のコスト低減等による普及加速化に向けた課題・今後実施すべき点を整理すると共に、2020年に世界全体の蓄電池市場規模(20兆円)の5割のシェアを獲得することが目標として策定されています。
本戦略では電力系統用大型蓄電池、定置用蓄電池、車載用蓄電池の3つの分野について整理されました。
項目 |
課題 |
今後の取り組み |
電力系統用大型蓄電池 |
①代替手段である揚水発電とのコスト差 ②代替手段である揚水発電の容量の限界 |
電力会社、再生可能エネルギー発電事業者、蓄電池メーカー等による最適な設置方法の実証 |
定置用蓄電池 |
①鉛電池とリチウムイオン電池の価格差 ②中国のレアアース輸出規制によるニッケル水素電池の供給制約 ③技術基準及び認証制度の整備 ④リチウムイオン電池の安全性の確立 |
①「節電エコ補助金」の執行による蓄電池のコスト低減 ②リースを活用した販売ビジネスの促進 ③日本電機工業会(JEMA)による技術基準の策定 ④リチウムイオン電池の国内安全性規格の策定 |
車載用蓄電池 |
①航続距離の向上とコスト低減 ②設備投資や研究開発の促進 ③V2Hの普及 ④水素供給設備関連の規制見直し |
①航続距離の目標設定 ②V2H導入のための支援策や安全性等への認証制度の策定 |
二次電池技術開発ロードマップ【2008年~】
二次電池技術開発ロードマップはNEDOによって策定された、
蓄電池の部門ごとに達成すべき目標を、年代に分けて示したロードマップです。
本ロードマップは、日本の二次電池関連産業が、国際競争力を維持・向上させていくことを
目的に策定されています。
2008年は自動車用二次電池や電材利用、2010年は民生用、産業用についての目標が設定され、
2013年に定置用、自動車用及び電池材料を対象としたロードマップへと再編されました。
2013年の二次電池技術開発ロードマップでは
自動車用二次電池に関して、重量当たりのエネルギー密度及び出力密度、コスト、寿命を指標に、また、定置用二次電池に関して、コスト及び寿命を指標に目標設定を行いました。
2030年における目標設定は以下の通りです。
〈2013年の二次電池技術開発ロードマップ内の目標〉
項目 | 2030年目標 | |||
定置用 |
系統用 |
コスト:導入に向けて更なる低コスト化を期待 寿命:20年 |
||
需要家用 |
コスト:普及に向けて更なる低コスト化を期待 寿命:20年 |
2013年の段階では、定置用蓄電池に関して具体的な金額目標は設定されておらず、「更なる低コスト化を期待」といった目標設定がなされました。
第5次エネルギー基本計画【2018年~】
第5次エネルギー基本計画は国の中長期的なエネルギー政策の方向性を示すための計画です。
従来のエネルギー政策では3E+Sと呼ばれる
・安定供給(Energy Security)
・経済効率(Economic Efficiency)
・環境適合(Environment)
・安全性(Safety)
の上記4項目を満たすことが求められてきました。
その後、日本や世界の現状を踏まえ第5次エネルギー基本計画が策定され、
従来の3E+Sに詳細な目標を加えた「より高度な3E+S」として
・安定供給:技術自給率とエネルギー選択肢の多様性確保
・経済効率:日本の産業競争力強化へつなげる
・環境適合:脱炭素化への挑戦
・安全性:安全の革新を図る
上記の目標が設定されました。
第5次エネルギー基本計画では、2030年と2050年の指針も提示しており、
蓄電池については
2030年:導入を促進すべく低コスト化に向けた取り組みや技術開発等を進める
2050年:地域とエネルギーセキュリティの双方の観点から、開発を主導していく
という指針が立てられています。
蓄電池戦略、二次電池技術開発ロードマップ、第5次エネルギー基本計画から、
各省庁から蓄電池の重要性とコストダウンの必要性が常に示されてきたことがわかります。
2030年ストレージパリティに向けた価格水準は?
では、ストレージパリティを達成するためには蓄電池はいくらになる必要があるのでしょうか?
経済産業省の「ストレージパリティの達成に向けた価格水準と導入見直しについて(2020年)」によると
産業用蓄電池の場合は5万円/kWh(投資回収8年)
となっています。
上記の価格が算出されるまでのプロセスを以下にまとめました。
【産業用】
大項目 |
中項目 |
数値 |
電力プラン |
中国電力「業務用電力プラン」 |
1,575円/kW/月(基本料金) |
蓄電システム |
蓄電容量 |
3時間率 |
投資回収年数 |
8年 |
上の条件をもとに、蓄電システムによるピークカット効果での収益と、蓄電システムの導入による年経費を比較し、投資回収できる価格水準を計算しました。
ピークカット効果による収益が月あたり1,575円/kWなので、年間として1万8,900円/kWの収益を得ることができます。
上記の年間収益をもとに、投資回収年数8年・蓄電容量3時間率という条件を考慮して、
蓄電システムの経費との差額を算出したものが以下のグラフです。
産業用蓄電池の価格構造からストレージパリティを紐解く
産業用蓄電池におけるストレージパリティの達成のためには、蓄電システムの単価を5万円/kWh以内に収める必要がありますが、現状の価格水準とはどのくらいの格差があるのでしょうか?
現在の国内における業務・産業用蓄電システムの価格水準は以下の通りです。

蓄電システム単価は9.8万円/kWhとなっており、ストレージパリティ達成の価格水準である5万円/kWhとは4.8万円/kWhの差があります。
この差を埋めるにあたって重要項目となるのは、全体価格の半分以上を占める電池部分です。
2015年の10.5万円/kWhと比較すると、50%以上も価格低減していますが、ストレージパリティ達成のためには今後さらなる価格低減が必要となります。
ここで議題に上がるのが「鉛電池」と「リチウムイオン電池」のどちらを使うのかという問題です。
それぞれにメリット・デメリットは以下の通りです。
鉛電池 | リチウムイオン電池 | |
メリット | 安価に製造できる | 小型化され持ち運びに適している |
デメリット | 重いため持ち運びには適さない | 製造コストが高い |
電池部分の価格を下げることだけを考えると、鉛電池を利用すれば良いように思えますが、
EV車などの普及を考えると、今後リチウムイオン電池が必要となる場面も多いです。
そのため、定置用の大規模な蓄電システムには鉛電池を使用し、EV車などの移動が伴う小型
蓄電システムにはリチウムイオン電池を使用するといったように適材適所で使い分けながら、
リチウムイオン電池の価格低減に向けた取り組みを行っていく必要があります。
【令和5年度】ストレージパリティ補助金(環境省)の概要を説明
最後に概算要求時点ではありますが、令和5年度のストレージパリティ補助金の情報をお伝えします。
目的:初期費用ゼロでの自家消費型の太陽光発電設備・蓄電池の導入支援等を通じて、太陽光発電設備・蓄電池の価格低減を促進しながらストレージパリティを達成し、我が国の再エネの最大限導入と防災性強化を図る
補助対象:民間事業者・団体
実施期間:令和3年度~令和7年度
補助額については以下の表のように、蓄電池の有無や導入方法によって変わりますが、4万円/kW~7万円/kWとなるようです!
法人 | 個人 | |||
|
業務用施設 | 産業用施設 | 集合住宅 | 戸建て住宅 |
PPA |
5万円/kW | 7万円/kW | ||
購入モデル | 4万円/kW | 対象外 |
昨年との大きな違いは、蓄電池(V2H充放電設備含む)導入は必須ということです。また、太陽光発電の発電電力を系統に逆潮流しないことという条件もございます。
最後までお読みいただきありがとうございました!


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