TCFDとは?わかりやすく解説
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2015年にパリ協定が採択されて以降、企業も「脱炭素」や「カーボンニュートラル」に
取り組むことが求められ、世界中で「TCFD」「RE100」「SBT」等のイニシアティブが
設立されています。
今回は、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」とはどういった取り組みなのかということに加え、設立された背景や現在の動向などについて説明いたします。


TCFDとは
TCFDは「気候関連財務情報開示タスクフォース
( Task Force on Climate-related Financial Disclosures )」の略称です。
TCFDは金融の安定を担う金融安定理事会(FSB)により、設置されましたが、
設置に至った背景にはパリ協定があります。
パリ協定は2015年にフランスのパリで行われた気候変動枠組条約締約国会議(COP21)にて採択された、温室効果ガスの排出削減に向けた国際的な枠組みです。パリ協定に世界各国が賛同したことにより、世界中で温室効果ガス削減への機運が高まりました。
その結果、温室効果ガス削減は、企業にも求められるようになり、
環境リスクを考慮し温室効果ガスの削減に取り組む必要性が出てきたのです。
環境リスクを考慮している企業の方が安全性が高いと判断され、投資家の投資の対象になりやすいことから、ESG投資が活発化していますが、企業のIR情報だけではそれらの比較が難しく、本当に環境リスクを考慮しているのかどうかということを判別できません。
そこで、TCFDは、年次の財務報告において、財務に影響のある気候関連情報の開示を推奨する報告書を公表しました。
TCFDで開示する情報とは?
先述のような背景で設置されたTCFDですが、2017年6月に
- 一貫性、比較可能性、信頼性、明確性をもつ効率的な
気候関連の財務情報開示を企業へ促す - 投資家等が投資・貸与・保険引き受けを行う際に、
適切な投資判断をすることを促す
これら上記二点を目的とした、「TCFD提言」を提出しました。
開示情報と推奨される開示内容についてまとめたものが以下の表です。
ガバナンス (Governance) |
戦略 (Strategy) |
リスク管理 (Risk Management) |
指標と目標 (Metrics and Targets) |
経営陣は気候関連の課題をどの程度考慮し、取り組みを監督しているか |
短~長期でどのような気候関連のリスクと機会があり戦略へどう影響するか |
気候関連のリスクをどのように識別・評価しそれを管理するのか |
気候関連のリスクと機会をどのような指標を用いて測定するのか、 |
推奨される開示内容 | |||
気候関連のリスクと機会についての取締役会の管理体制 |
短~長期に識別した気候関連のリスクと課題 |
気候関連リスクを識別・評価するプロセス |
気候関連のリスクと機会を評価するために用いた指標 |
気候関連のリスクと機会を管理する上での経営の役割 |
気候関連のリスクと機会がビジネス・戦略・財務計画に及ぼす影響 |
気候関連リスクを管理するプロセス |
Scope1~3における温室効果ガス排出量と関連リスク |
将来の気候シナリオを考慮した戦略レジリエンス |
上記プロセスが総合リスク管理にどのように統合されているか |
気候関連のリスクと機会を管理するために用いる指標および目標に対する実績 |
上記の表の通り、気候関連のリスクを測るための指標から、戦略の管理体制まで、
気候関連のリスク及び機会の全体像を開示することが企業には求められています。
上記に加え、気候変動の影響を潜在的に大きく受ける
・金融セクター(銀行、保険会社など)
・非金融セクター(エネルギー、運輸、材料及び建物、農業、食品、木材製品)には、
補助ガイダンスとして戦略や指標に関する具体例が提示されています。
シナリオ分析とその方法
先述の通り、TCFDの求める情報開示を行うためには「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の4つの項目での開示が必要ですが、そのなかで中核的役割を果たすのが
「シナリオ分析」です。
シナリオ分析は、戦略における「将来の気候シナリオを考慮した戦略レジリエンス」に含まれており、リスクと機会の特定・評価はシナリオ分析の一部と考えることができます。
シナリオ分析では、気候変動が顕在化した未来において、平均気温の上昇度合いにおける複数のシナリオに基づき、気候変動が自社に及ぼす影響や、その影響下での事業の継続性などを分析します。
複数のシナリオを提示させることによって、どのような未来においても事業が継続できるのかの判断材料として用いられるのです。
では、どういった方法を用いてシナリオ分析を行うのでしょうか?
- 自社のビジネスモデルに関わる制度や技術、関連性の高い地域や原料を洗い出す
- それらが、各シナリオでの気候変動によって受ける影響に対する意見を社内で収集する
- それらを重要度に沿って整理し、課題化する
具体的には下記のステップでシナリオ分析を行うことができます。

フロー自体は簡素的なものですが、この分析を行うにあたって環境に関する知識が必要なのはもちろんのこと、評価の指標やプロセスを事前に設定しておく必要があります。
日本のTCFDの状況
2022年5月31日現在、TCFDに対して、世界全体では金融機関をはじめとする3,395の企業・機関が賛同を示し、日本では877の企業・機関が賛同の意を示しております。
では、実際にどういった機関が賛同しているのでしょうか?
内訳は以下の通りです。
機関 | 数 |
金融セクター | 188 |
非金融セクター | 609 |
その他機関 | 80 |
合計 | 877 |
賛同機関数上位8ヶ国中、非金融セクターの数が金融セクターの数を上回っているのは日本だけであり、日本の企業が環境に関するリスクを重要視していることが伺えます。
また、金融セクターではメガバンクから地方銀行まで、非金融セクターでは大企業から中小企業までと、企業規模の幅も広いです。
これらのことから、企業や投資家を含め日本全体として気候リスクへの関心度が高く、今後さらにTCFD提言に沿った情報開示が進んでいくことが予測されます。
中小企業もTCFDに取り組むべき理由
TCFDに加盟する企業が増えている中、現在では中小企業においてもTCFDに取り組む必要が出てきています。
TCFDの提言により、投資家たちは明確な判断基準のもと、投資判断をしやすくなりつつあり、実際、多くの金融機関がTCFDに加盟しています。
そのため、TCFD提言に沿った情報開示をしていない企業は、それだけで情報開示をしている企業に比べてリスクがあると判断され投資されにくくなることが予測されるのです。
そうなると、TCFDに取り組まない企業は資金調達が困難となり、経営継続が厳しくなります。
つまり、今後企業として資金調達をし続けるためには、企業規模を問わずTCFDに取り組む必要が出てくるのです。
是非、今回のコラムをきっかけとしてTCFDの提言に沿った情報開示をご検討ください。
最後までお読みいただきありがとうございました!

