第6次エネルギー基本計画が閣議決定!再エネ比率など内容を解説!
皆さま、こんにちは!
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岸田文雄政権が発足し、日本のエネルギー政策に注目が集まっています。
今回は、2021年秋に公表された第6次エネルギー基本計画を解説します!

これまでのエネルギー基本計画
「エネルギー政策基本法」は、「安定供給の確保」「環境への適合」「市場原理の活用」を基本方針に平成14年6月に制定されました。
「エネルギー基本計画」は、「エネルギー政策基本法」に沿って、エネルギーの需給に関する施策を長期的に推進するため、策定されるものです。
以下のようにエネルギー基本計画は定期的に見直しがされてきました。
平成15年10月閣議決定 | 当初エネルギー基本計画 |
平成19年3月閣議決定 | 第2次エネルギー基本計画 |
平成22年6月閣議決定 | 第3次エネルギー基本計画 |
平成26年4月閣議決定 | 第4次エネルギー基本計画 |
平成30年7月閣議決定 | 第5次エネルギー基本計画 |
令和3年10月閣議決定 |
上記を詳細にみていきましょう!
【2003年】当初エネルギー基本計画
平成15年の当初計画では、「長期的、総合的かつ計画的に講ずべき施策」として以下をあげています。
①エネルギー需要対策の推進
・家庭やオフィスにおける省エネルギー対策の推進
・自動車の省エネルギー性能の向上に向けた取り組み
・産業部門における先進的な省エネルギー技術開発
・負荷平準化対策の推進
②多様なエネルギーの開発、導入及び利用
・原子力の開発・導入
・原子力発電等に対して国民の理解を得るための取り組み
・新エネルギーの導入・普及のための技術開発
・ガス体エネルギーの開発、導入及び利用
・LPガスの開発、導入及び利用
・水力及び地熱の開発、導入及び利用
③石油の安定供給の確保等に向けた取り組み
・石油安定供給確保
・石油産業の強靭な経営基盤の構築
④電気事業制度・ガス事業制度運用
⑤分散型エネルギーシステム構築・水素エネルギー社会に向けた取り組み
【2007年】第2次エネルギー基本計画
当初計画策定時の情勢から大きく変化しました。
それは、以下3つです。
- 石油をはじめとするエネルギーの国際価格の上昇
- 「原子力政策大綱」を尊重する旨の閣議決定
- 京都議定書の発行
第2次エネルギー基本計画では、原子力発電を「基幹電源」として位置づけることが記載されています。
【2010年】第3次エネルギー基本計画
第2次基本計画策定時から変化したことは以下3つです。
- 2008年に原油価格の乱降下が顕著となり、エネルギーサプライチェーンをいかに維持するかの課題が浮き彫りに
- 洞爺湖サミットで世界全体の温室効果ガス排出量を2050年までに少なくとも50%削減するとの目標につき一致をみた
- エネルギー・環境分野に対し、経済成長の牽引役としての役割が求められるようになった
第3次基本計画では、2030年までの具体的施策を明らかにしました。
具体的には、ゼロ・エミッション電源(原子力及び再生可能エネルギー由来)の比率を約70%(2020 年には約 50%以上)とする(当時 34%)などです。
【2014年】第4次エネルギー基本計画
2014年に制定されたエネルギー基本計画は、東京電力福島第一原子力発電所事故と向き合い、エネルギー政策の基本視点を、
3E(Energy Security、Economic Efficiency、Environment)に
安全性(Safety)を追加した「3E+S」としました。
また、FIT制度による再生可能エネルギーの普及を見極め、エネルギーミックスを検討しています。
【2018年】第5次エネルギー基本計画
第5次エネルギー基本計画では「より高度な3E+S」が掲げられています。
より高度な3E
①技術自給率向上/選択肢の多様化確保
②脱炭素化への挑戦
③自国産業競争力の強化
より高度なS
技術・ガバナンス改革による安全の革新
主な計画内容としては
2030年に温室効果ガスを26%削減するための「エネルギーミックスの実現」や、2050年に温室効果ガスを80%削減するための「エネルギー転換・脱炭素化への挑戦」があります。
再生可能エネルギー | 主力電源化する |
原子力 | 脱炭素の選択肢としながらも依存度を低減する |
化石燃料 | 自主開発、非効率石炭フェードアウトする |
省エネ | 徹底的な省エネの継続 |
分散型エネルギー | 次世代再エネ・蓄電池・EV・マイクログリッド等と組み合わせる |
第5次基本計画では、エネルギーミックスにおける各電源の立ち位置を上記のように設定しました。
第6次エネルギー基本計画
2021年10月に第6次基本計画が閣議決定されました。
第5次基本計画策定時からの情勢で変化したことは、気候変動問題への関心が高まったことです。
主に以下4つの内容が議論され、基本計画となりました。
- カーボンニュートラルに向けた対応が世界的な潮流となっている(地球温暖化の問題)
- 「2050年カーボンニュートラル宣言」と脱炭素化産業の創出
- 再エネ価格の低下と再エネを中心とした分散型エネルギーシステムの開発
- 「経済と環境の好循環」を生み出すためのグリーン成長戦略 (2021年公表)
気候変動問題以外の情勢変化としては以下です。
- 経済・エネルギー安全保障における緊張感の高まり
- 新型コロナウイルス感染症拡大により、マスク等グローバルサプライチェーンの脆弱さが意識され、エネルギーにおいての供給リスクも顕在化している
- 自然災害の頻発・激甚化やサイバー攻撃など、エネルギーの安定供給を脅かすリスクの増大
- 卸電力市場での取引量の拡大とFIT制度による再エネ導入の増加
- アグリゲーターの普及や蓄電池の技術革新によるエネルギー業界のデジタル化
第4次での基本的視点は「3E+S」、第5次では「より高度な3E+S」でしたが、第6次エネルギー基本計画では「S+3E」が掲げられています。
なぜ「S」が先に来たのかですが、いかなる事情よりも「安全性」が最優先だ、ということをアピールするためでしょう。
第6次エネルギー基本計画では、2050年カーボンニュートラルに向けての対応も整理されています。
経産省は2050年カーボンニュートラルが実現された社会のエネルギー需給構造を以下のようにしています。
電力部門 | 徹底した省エネによるエネルギー消費効率の改善、脱炭素電源による電力部門の脱炭素化がすすめられる |
産業部門 | 水素還元製鉄、CO2吸収型コンクリート、CO2回収型セメント、人工光合成などの実用化により脱炭素化が進展 |
民生部門 | 電化が進展するとともに、水素や合成メタンなどの活用により脱炭素化が進展 |
運輸部門 | EVやFCVの導入拡大とともに、二酸化炭素を活用した合成燃料の活用により、脱炭素化が進展 |
その他 | 二酸化炭素の排出が避けられない分野については、DACCS (Direct Air Carbon Capture and Storage)やBECCS(Bio-energy with Carbon Capture and Storage)、森林吸収源などにより二酸化炭素が除去される |
上記に向けた対応は以下にように記載されています。
電力部門 | 再生可能エネルギーや原子力など実用段階の脱炭素電源を用いて着実に脱炭素化を実現する。また、水素・アンモニア・CCS・カーボンリサイクルを活用する |
産業部門 | 徹底した省エネによるエネルギー消費効率の改善に加え、熱需要や製造プロセスそのものを脱炭素化する |
民生部門 | 太陽光発電や太陽熱給湯等の再エネの最大限の活用や、脱炭素化された電源・熱源によるエネルギー転換を行う建材やエネルギー消費機器の性能向上 |
運輸部門 | 自動車のカーボンニュートラル化に向け、燃料・エネルギーを脱炭素化する車の使い方の変革など、ユーザーの行動変容や電動化に対応したサービス・インフラの社会実装の加速化 |
2030年におけるエネルギー需給の見通し
2030年におけるエネルギー需給の見通しを以下のように設定しています。
再エネ比率を36%~38%に、原子力比率を20%~22%にすることで、温室効果ガス削減46%が可能になるとしています。
第6次エネルギー基本計画での「太陽光」の立ち位置
事業用太陽光の発電コストが低減しており、分散型エネルギーリソースとしてレジリエンスの観点での活用も期待されています。
一方で今後の導入拡大に向けては、
- 地域と共生可能な形での適地確保
- さらなるコスト低減に向けた取り組み
- 出力変動に対応するための調整力の確保
- 出力制御に関する系統ルールのさらなる見直し
- 立地制約の克服に向けたさらなる技術革新
が必要とされています。
今後はFIP制度等、市場での売電を想定し活用していくとともに、分散型エネルギー源として昼間のピーク電源を補い、消費者参加型のエネルギーマネジメントの実現に貢献するエネルギー源になっていくことが期待されています。
エネルギー基本計画のまとめ
エネルギー基本計画を振り返ってみると、時流や政策がよく反映されていることがわかります。
実際に第6次エネルギー基本計画は「2050年カーボンニュートラル」の影響を強く受け、策定されています。
今後も随時更新いたしますので、ぜひSAWADAのサイトをチェックしてみてください!

最後までご覧いただきありがとうございました!