CDP(カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)とは?わかりやすく解説!
皆さま、こんにちは!
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CDP(カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)とは世界中の投資家が連携し、企業に対して気候変動への対策や、温室効果ガス排出量に関する公表を求めるプロジェクトのことです。
CDPに取り組む企業は年々増加しており、運用総額は106兆ドルを超えています。
本日はCDPとは何か、そしてCDPが中小企業に及ぼす影響について解説します。

CDPとは?
CDPとは「カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト(Carbon Disclosure Project)」の略であり、2000年にイギリスで発足した、非政府組織(NGO)のことです。
CDPの主な活動内容は、世界の国家、企業、都市、地域に対して、二酸化炭素排出量や気候変動の取り組みに関する質問書を投げかけ、環境活動への取り組み状況を開示することです。
CDPの活動目的は「人々と地球にとって、健全で豊かな経済を保つ」です。
CDPが収集し開示した情報は機関投資家や、企業の経営施策決定者の意思決定に大きな影響を与えています。
CDP3つの質問書
CDP質問書の内容は、毎年、投資家や企業、政府関係者など様々なステークホルダーからのフィードバックに基づき、改訂されています。
最新のCDPの質問書は下記の3つに分類されます。
①気候変動質問書2021
②フォレスト質問書2021
➂水セキュリティ質問書2021
それぞれの質問書の内容につきましては、後述させていただきます。
CDPのランク付けとスコアリング方法
CDPは、気候変動、フォレスト、水セキュリティ質問書の回答企業に環境影響の計測・管理を促すようにスコアリング基準を定めています。
各CDP質問書(気候変動、フォレスト、水セキュリティ)は、個別のスコアリング基準が設定されており、質問書に対する企業の解答から、各企業にスコアをつけます。
CDPがつけるスコアは下記の8段階(無回答を除く)に分かれています。
・情報開示レベル(D⁻、D) |
回答の完全性を示す データの信頼性と品質の向上を推進 質問書に解答しているが、まだ、スチュワードシップに向けた努力が未成熟 |
・認識レベル(C⁻、C) |
事業で環境問題の影響を考慮していることを示す 事業で環境課題への影響を考慮し、環境問題に関する認識を深めている段階 |
・マネジメントレベル(B⁻、B) |
環境リスクやその影響に対するアクションをとっていることを示す 環境リスクやその影響をトラッキングし、緩和したりなくしたりしようとしている |
・リーダーシップレベル(A⁻、A) |
環境問題の管理においてベストプラクティスを行っていることを示す 環境問題について自社の事業に沿った理解をしており、その認識や実行したアクションについて説明できている |
下記がスコアリング表です。
レベル |
気候変動(%) |
水セキュリティ(%) |
フォレスト(%) |
スコア(%) |
情報開示 |
1-44 |
1-44 |
1-44 |
D- |
45-79 |
45-79 |
45-79 |
D |
|
認識 |
1-44 |
1-44 |
1-44 |
C- |
45-79 |
45-79 |
45-79 |
C |
|
マネジメント |
1-44 |
1-44 |
1-44 |
B- |
45-79 |
45-79 |
45-79 |
B |
|
リーダーシップ |
1-79 |
1-80 |
1-81 |
A- |
80-100 |
80-101 |
80-102 |
A |
*「CDPスコアリング基準2021 イントロダクション」より抜粋
気候変動
気候変動質問書の内容
気候変動についての質問書は、温室効果ガス排出量及び削減目標についての情報開示がメインになっています。気候変動に伴って企業が直面すると考えられることの理解促進へもつながっています。
TCFD対応の質問構成となっています。
下記質問カテゴリーになります。
質問カテゴリー
- ガバナンス
- リスク管理プロセス
- リスク開示
- 機会開示
- 事業戦略と財務計画
- シナリオ分析
- 目標
- 排出削減施策と低炭素製品
- スコープ1,2排出(検証含む)
- スコープ3排出(検証含む)
- エネルギー
- コミュニケーション
- カーボンプライシング
- バリューチェーンとの協働
- 公共政策との協働
- 承認
上記の様な質問構成になりますが、2021年は2020年の質問から「低炭素移行計画」「ネットゼロ目標」に関する設問が付け加えられているなど、質問には毎年修正が加えられるようです。
気候変動のAランク企業(2021)
この2020年の気候変動質問書においてAランクに認定された日本企業は、53社になります。
【2020年度気候変動Aリスト一覧】
- 小野薬品工業
- 第一三共
- 武田薬品工業
- アサヒグループホールディングス
- 味の素
- キリンホールディングス
- サントリー食品インターナショナル
- 住友林業
- 日本たばこ産業
- 不二製油グループ本社
- 大林組
- 鹿島建設
- 積水化学工業
- 大成建設
- 大和ハウス工業
- 戸田建設
- 三菱地所
- いすゞ自動車
- キヤノン
- 京セラ
- コニカミノルタ
- 小松製作所
- セイコーエプソン
- 東芝
- トヨタ自動車
- 豊田自動織機
- ナブテスコ
- ニコン
- 富士電機
- ブリヂストン
- 古河電気工業
- 三菱電機
- 横河電機
- 横浜ゴム
- リコー
- 花王
- コーセー
- 住友化学
- 東京製鐵
- J.フロント リテイリング
- アスクル
- イオン
- 丸井グループ
- 楽天
- MS&ADインシュアランスグループホールディングス
- 日本電気
- 日本電信電話
- 野村総合研究所
- 野村ホールディングス
- 富士通
- ベネッセホールディングス
- 川崎汽船
- 日本郵船
水セキュリティ
水セキュリティ質問書の内容
CDPが実施する水セキュリティについての質問書は、下記質問カテゴリーになります。
質問カテゴリー
- コンテクスト
- 会計
- バリューチェーン・エンゲージメント
- ビジネスへの影響
- 水リスク評価
- 水関連のリスクの暴露と対応
- 関連機会
- 政策
- ガバナンス
- 事業戦略
- 課題への統合的アプローチ
- 定性的・定量的目標
上記の様な質問構成になりますが、2021年は2020年と比較して重視する項目が変わるなど、採点方法に毎年微修正が加えられるようです。
水セキュリティのAランク企業(2021)
この2020年の水セキュリティ質問書においてAランクに認定された日本企業は、30社になります。
【2020年度水セキュリティAリスト一覧】
- 塩野義製薬
- キッコーマン
- キリンホールディングス
- サントリー食品インターナショナル
- 日本たばこ産業
- 不二製油グループ本社
- 積水化学工業
- 東京ガス
- TDK
- キヤノン
- クボタ
- 小松製作所
- セイコーエプソン
- ソニー
- トヨタ自動車
- 豊田自動織機
- ナブテスコ
- 日産自動車
- 日立製作所
- 富士フイルムホールディングス
- 三菱電機
- 横河電機
- 花王
- 住友化学
- 東レ
- 日産化学
- 住友商事
- ファーストリテイリング
- 日本電気
- 富士通
フォレスト
フォレスト質問書の内容
CDPが実施するフォレストについての質問書は、下記質問カテゴリーになります。
質問カテゴリー
- 土地基準の指標
- 消費と生産に関するデータ
- 森林リスクと影響評価
- 森林関連リスクエクスポージャー
- 森林関連機会
- ガバナンス
- 方針とコミットメント
- 事業戦略
- 目標
- トレーサビリティ
- 認証
- エンゲージメント
- 最終承認
上記の様な質問構成になりますが、2021年は2020年から新たな設問が加えられるなど毎年微修正がされているようです。
フォレストのAランク企業(2021)
この2020年のフォレスト質問書においてAランクに認定された日本企業は、2社になります。
【2020年度フォレストAリスト一覧】
- 不二製油グループ本社(パーム油)
- 花王(パーム油)
CDPサプライチェーンとは?
CDPサプライチェーンとは、CDPサプライチェーンメンバー(上位企業)がCDPを介してサプライヤー(中小企業や非上場企業含む)に環境情報の開示を要請することにより、サプライチェーンを通じて、環境リスクと事業機会を特定し、温室効果ガスの排出を削減することを目的としています。
CDPサプライチェーンメンバーとサプライヤー
現在のサプライチェーンメンバー(上位企業)は全世界で200組織強となり、その調達総額は5.5兆ドルを超えています。
日本のCDPサプライチェーンメンバー
2021年3月時点で、12の企業がCDPサプライチェーンメンバーとして活動しています。
【日本のメンバー企業一覧】
- 味の素株式会社
- 富士通株式会社
- 本田技研工業株式会社
- 日本たばこ産業
- 花王株式会社
- 環境省
- 日本電気株式会社
- 日産自動車株式会社
- 株式会社エヌ・ティ・ティ・データ
- 積水ハウス株式会社
- トヨタ自動車株式会社
- 横浜ゴム株式会社
上記の通りCDPサプライチェーンメンバーに参加している日本企業は少ないですが、環境リスクを適切に開示することはサプライチェーンにまで広がりを見せております。
まとめ
CDPとは、世界の企業に対して、二酸化炭素排出量や気候変動の取り組みに関する質問書を投げかけ、企業の環境活動への取り組み状況を開示することです。
日本でもサプライチェーンメンバーが増えていて、今後サプライチェーンメンバーと取引のある中小企業も脱炭素化が要請されます。
最後までご覧いただきありがとうございました!
